【書評】遅いインターネット

著者が言う所の「遅いインターネット計画」には全面的に賛同はする。だが、この本は何か「片手落ち」な感じがする。何かが足りない。

一番引っかかったのは冒頭のリオ五輪のセレモニー。著者は、日本が過去の栄光でしか自国を語ることができなくなった、と嘆く。確かに、ドラえもんや、マリオであったり、そこに安倍晋三が乗っかってきては嘆きたくなる気持ちも解る。だが、土管から安倍晋三が出てきた後に、描いたセレモニーは日本のテクノロジーを語るものではなかったのか。どうして、そこに一切触れていないのかわからないし、何にせよ、冒頭の君が代の演奏は、スタジアム全体に脱帽と起立を求めつつも、日の丸がフィールドに描かれる、というある意味衝撃的なものだった。何か、自分に都合よく物事を切り取っていないか。

一方で、インターネットが「早くなって」しまったのは事実だ。インスタンスな書き手と、それを受け取って潮目を読みつつ、石を投げ続ける受け手。そんな輩を撲滅する必要があるのは事実だと思う。

著者のオンラインサロンでこの本を受けてのその後が「補完」されることを期待したいと思う。

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