「一緒にハグ(抱擁)しませんか」-。街頭で「FREE HUGS(フリーハグ)」と書かれたボードを掲げ立つ若者たち。見知らぬ人と抱き合うことで生きている喜びを分かち合い、苦しみを癒やそうという運動がインターネット上の口コミを通じて全国で流行している。
名古屋経済の好況を背景に高層ビルの建築ラッシュに沸く名古屋駅前で通行人に抱擁を求める若者たちを取材した。
「初めて他人と抱き合ったとき、人間は温かいと実感できた」。名古屋市の男子大学院生で通称「ゆうり」さん(23)は語る。6月から、JR名古屋駅前などで連日3時間以上活動している。ネットの掲示板で呼び掛けると、20代を中心に十数人がボードを持ち集まる。少ない日は数人、多い日は数十人の通行人がハグに応じる。
「何の変化もなく日々を消化していくだけだ」。ハグに参加する以前、日常に息苦しさを感じていたゆうりさん。駅前でハグを求めて立つ女性が気になっていた。
だが、悩みを抱えていた友人の一人がある日ハグに応じ、それをきっかけに笑顔を取り戻した。「みんな触れ合いを求めている。自分もハグを通じて小さな希望を与えられるかも」。女性を見掛けて約2カ月後。ゆうりさんはボードを持ち街角に立っていた。
精神科医で若者文化に詳しい香山(かやま)リカさんは「人と交わりたいが、踏み込むのは面倒という心理が強い、平板な現代を象徴する現象だ」と厳しい意見だ。
記者(30歳、男性)も手製ボードを持ち、平日の夕方に名古屋駅前に立ってみた。行き交う人のいぶかしげな視線が痛い。約1時間後、手を広げ近寄ってくる制服姿の女子高生(18)とようやくハグできた。温かい。彼女は「私も“ハグラー”ですよ」とハートマークで縁取られたボードを広げた。
ハグに応じてくれたカナダからの留学生(24)は「僕の国でもハグはするけど知らない人とはしないね。でも、ハグは気持ちいい。日本でも広まるといいね」と話していた。
■フリーハグ 見知らぬ人と抱き合い喜びを分かち合うことを目的とした運動。2006年ごろからオーストラリアで盛んになり、「ユーチューブ」などのインターネット上の動画投稿サイトでその様子が公開されたことから、世界各地に広がった。
この前、夜中の渋谷駅前でやっていた。ふーん。ってちょっと冷めた目でみてしまったけど。なんか、いいな、って感じはしたな。
暖かみが感じられなくなってきた世の中だもんね。
関連記事:
- None Found